久山 薫/うつ病からの回復

【私にもできた】うつ病 克服の記録

【うつ病とお酒】うつ病患者が体験した、アルコール依存症からの脱却

うつ病患者にとって、お酒は魅惑的な飲み物です。
体が軽くなるし、不安がなくなるし、気持ちが大きくなれるなど、頼ってしまいたくなります。けれども、症状を軽くしようとしてお酒を口にすると止められなくなる習慣になってしまうのも事実です。
アルコール依存症の始まりになってしまいます。
うつ病の治療薬とも相性が悪いのが、アルコールです。
アルコールを飲む習慣のある人は、しっかりと向き合い方を考えて過ごしてください。

■お酒の気分はまやかしだと認識する

お酒を飲むと気持ちがよくなりますよね。
わかります。
けれども、その気持ちよさは、お酒が作り出すまやかしです。その証拠に、お酒の酔いから覚めるとまた、元通りの気持ちになりませんか?下手をすると、飲んだ方が気分が悪くなってしまった、という経験もありませんか?飲み過ぎとかで。。。
飲みすぎると辛いですよね。胸焼け、吐き気、頭痛。。。半日体調をもとに戻すので時間を使ってしまいます。これでは、楽しかった時間も台無しですよね。
まずは、適量を守るようにしてください。

■お酒の恐怖、アルコール依存症

私は、精神内科のお医者さんの指示で、半年間禁酒をしていた経験があります。
プチアルコール依存症のような状態になっていました。
一日の始まりに、お酒を一口飲んでしまうのです。それは、体調が楽になるので飲んでいました。
体の倦怠感、不安感がなくなり、仕事に行っていました。どこかで、朝からお酒を飲むなんて、、、という気持ちはありました。けれども、飲まずに重い体を引きずって会社に行くことは不可能だと考えていました。飲むと体が軽くなるのです。それに、一口だし仕事中に飲むわけじゃないから平気だろ、という気持ちの方が強かったですね。
このままじゃ、ダメだ。という気持ちももちろんありました。けれども、朝の一口のお酒がやめられないのです。仕事に行くことは必要だし、飲まなければ体が動かない。ダメだ、とわかっていてもやめられない毎日で「このままだったらどうしよう」という不安だけが大きく成長する毎日でした。
不安に耐えられなくなったのと、お酒を飲んでも倦怠感が抜けないようになり、心療内科の受診を決意しました。

心療内科の受診結果

うつ病の診察のとき、15分ほど症状について話していたのですが、最後にこのお酒の話をお医者さんにしたら、急に目の色が変わり
うつ病アルコール依存症ですね」
と言われました。今までの話は何だったの? というぐらい空気が一瞬にして変わりました。
「けれども、半年間お酒をやめられたら、アルコール依存症は診断しないでおきます」
と言ってくれたので、これをきっかけに半年間の禁酒をしました。
「それと、仕事は休んでください」
と言ってくれたのも、ホッとしました。
もう会社へ行かなくていいんだ。。。と気持ちがゆるくなったのを覚えています。
ただ、お酒をやめられるか? という大きな不安は残っていました。

■お酒を捨てて決意を決めました

結論から言うと、お酒をやめるのは意外とスムーズにできました。
まずは、ウィスキーを全部捨てました。そして、奥さんに「半年間は飲まない」と宣言しました。
この宣言のお陰で気持ちのスイッチが入ったような感覚がありました。
まずは、代替品の準備です。ビール、缶酎ハイの代わりには、炭酸水を利用しました。シュワシュワした喉越しは、やっぱり、味わいたいので炭酸水にしました。
そして、最初の 3ヶ月は、ノンアルタイプの飲料も遠ざけました。なんとなく、お酒を思い出してしまうからです。
後半の 3ヶ月は、ノンアルタイプの飲料を飲むことにしました。
3ヶ月の間、お酒を飲まなかった自信があったので、もう大丈夫というのはありました。
そう、3ヶ月の禁酒を頑張ったご褒美に、ノンアルタイプの飲料を飲む、という感覚はありました。

■禁酒中の変化

禁酒中に一番変わったのは、朝の体調でした。
朝は、石を背負っているんじゃないかというぐらい体が重く感じていました。
けれども、会社へ行かなくていいので、起きる必要がないのでいつまでも横になっていました。
「会社に行かなくちゃ」というスイッチがなくなったのが、朝の一口のお酒をやめられた大きな要因に感じています。
体の変化は、大きいものでしたが、2週間もすると体の倦怠感もあまり感じなくなり始めました。うつ病の薬が効いてきたものだと考えています。
お酒をやめて一番大きな変化は、自己肯定感が強くなったことです。自信がなかった禁酒ですが、思いの外、できたので「自分にもやればできるんだ」という自信につながりました。この自己肯定感の回復は、うつ病には、大きな変化に感じました。
また、倦怠感がなくなったので、運動をするようになりました。倦怠感は薬の効果ですが、運動をしようと前向きに考えられるようになったのは、禁酒の効果が大きいと考えています。

■アルコール依存は、意志の問題ではありません

私もプチアルコール依存を経験したので、お酒をやめられない不安を理解できます。
周囲からは、
「お酒を我慢できないなんて、意志が弱いからだ」
「一日中お酒を飲んでいるなんて、だらしない」
なんて、言われたり、思われていたりしますが、本人も十分に同じことを考えています。だから、隠れて飲んでいたり、少しずつ飲んでいたりするんです。
そして、お酒が入っている状態が、調子のいい状態になってしまい、お酒がやめられない体になってしまうのです。
私も、ぎりぎりのタイミングで心療内科へ行って、禁酒を実行できたので、なんとかプチアルコール依存症から卒業できました。あのままの生活を続けていたら今頃はどうなっていたのだろうと考えてしまいます。もっと、ひどいことになっていたでしょうね。
お酒の力はわかります。不安を小さくしたり、気を大きくしてくれたり、現実の問題を気持ちよく先送りしてくれます。楽しい時間ですよね。
この力に頼ってしまうと、お酒から抜けられなくなります。こうなったら、注意が必要です。適切な距離を保ってください。
そして、周囲の人は、専門家へ相談するように誘導してください。
本人も周囲も苦しめてしまうのが、アルコール依存症なのです。

■【うつ病とお酒】うつ病患者が体験した、アルコール依存症からの脱却のまとめ

うつ病とお酒の関係は、とても危険なものです。
飲むと症状が軽くなってしまうので、つい飲んでしまう一口が永遠の一口になってしまいます。
お酒を永遠に飲み続けてしまうと、肝臓と脳が壊れてしまいます。
私は、運良く、ぎりぎりのタイミングで心療内科へ行くことができ、プチアルコール依存症の状態で禁酒に成功できました。本当に運が良かったです。
心療内科へ行くことも、アルコール依存症であることも、恥ずかしいことではありません。人に知られずに、断酒ができるサービスもあります。
周囲の方の助けも利用して、ぜひ、専門家へ相談してください。


厚生労働省 - うつ病

https://kokoro.mhlw.go.jp/depression/

国立精神・神経医療研究センター - 依存症 

https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sd/drug-addiction.html


依存症対策センター

https://www.ncasa-japan.jp/notice/alcoholism/depression